支社と、上野店の往復を繰り返し、多過ぎる応募に戸惑いながら面接と説明に明け暮れた
内装が完了し、什器の搬入日に開発課と弟子と喫茶からのヘルプ3人を集め、タイムスケジュール等の説明をした
そして『メイド喫茶』を体験してもらう為、アキバへと向かった
「俺的にはここのサービスぐらいが一見さんにも良いとは思うんだけどね…」
と、朝に必ず寄っていた一番喫茶店に近い雰囲気の『メイド喫茶』に入った
俺以外は皆、顔を見合わせながら恐る恐ると言った感じで中に入った
カルチャーショックを受けた様で、彼女等は『マイドさん』の動きをじっと見ていた
「まぁ…所謂、飲み屋やイメクラのノリじゃないってのは判って貰えると思う…また、そんなノリをしてもらっても困る…あくまで、爽やかに、日頃の常連さんとの会話の時の様な感覚で、接して欲しい…オープニングはかなりの数の新人を投入する…予想以上の混雑になると思うが、各自リーダーとして的確に指示出ししてくれ…厨房は落ち着くまで俺とマネージャーが交代でやるが、ドリンクはサーバーで君等が作れ…この後数件回るから、場の雰囲気を感じ取ってみてくれ」
「店長はどなたが為さるのですか?」
と、弟子が昔居た店のコか聞いて来る
「姑くは、俺がやる…だが、中から指示を出したりはしない…お客さんの夢を壊すしな(笑)…あくまでキミ等がメインだ」
「でも、先々、社員も店長も居ない状態になる訳ですよね?」
「いや…喫茶とカラオケから選んで、マネージャーに引き継ぎをさせるから安心したまえ…何だったらキミ等が部長と面談して、社員に繰り上がってくれても良い…俺もマネージャーもバイト上がりだからな…そこらも考えて見てくれ…ただ責任はかなり付きまとうし、休みは中々取れなくなるぞ?(笑)」
顔を見合わせる3人娘達を、開発課と眺めた
「俺は正式入社だからな(笑)」
「あぁ…営業の落ちこぼれだったっけ?(笑)」
「初めから喫茶部希望で入ったの知ってるだろがっ!」
「あー…あの頃は良くオマエを虐めたなぁー…」
「良く店でケンカして、専務に怒鳴られたっけか?(笑)」
「ははは…あったなぁ…なぁ…開発課って面白いか?」
「ん?なんだ薮から棒に?…オレにとっては、あの頃と変わらず面白いよ…突き詰めて行くとどんな職業もサービス業なんだと思えれるしね…まぁ最初は勉強し直さなきゃならなくて面倒だったけどな…」
「ふーーーん…そうか…俺もそーなったら、オマエを信じて頑張ってみるか…」
「変な事言うなぁー…当分は外れれないだろが?(笑)」
「そうだな…(笑)」
その後、5件回った
「メニューは喫茶のをベースにしている、レシピが出来次第キミ等に渡す…次回は制服も告知ビラを配るので、そのつもりで頼む!今日は以上だ!お疲れさまっ!」
俺達は支社に戻り、レシピとメニューを取りまとめ本社にメールした
メイド喫茶開店の告知HPも『勇者』のをベースに完成し、アクセスも上々のようだ
『メニューは『勇者』に頼みたかったけどな…』
まだまだ応募して来る『面接希望』の対応に明け暮れる日々が続き、バイトの決定が捗らなかった
プレオープン2週間前になり、部長も呼び、総勢20名の新人を前に、会議室で説明会を開いた
「この3人がキミ等を指導します…プレオープン迄に、先程から説明した事や、マニュアルを熟読して、しっかり覚えてください…オープンラッシュは3日に1回休んでもらうシフトを組みます…詳しい事はマネージャーが1週間毎のシフト表を配りますので、それで確認してください…後、調理経験のある人は残ってください…他の人は制服のサンプルがありますので、女子更衣室でサイズを確認し、マネージャーに提出してから帰ってください…ビラ配りに参加できる方はサイズ表に、その宗を記入しておいてください…後で、連絡致します…では、本日は解散します!お疲れさまでしたっ!」
調理経験者は2名しか居らず、交代でアシストしたもらう事になった
「×××くん…お疲れさん…順調の様だね?…で、社員面談希望はどの娘だい?」
弟子の居た店のコ『狩山』と、天然の『柏谷』を呼び、部長に紹介した
「んー…狩山くんが3年で、柏谷くんは2年か…オープニング前だからまだ決定は出来ないが、オープニング終了後、人事課も交えてしっかり面接させて貰うよ…2人共頑張ってくれたまえ!」
部長に席を勧められ座ると、思った通りに
「で、この仕事は良いとして…ケイコくんとの話はどうなった?」
「いえ…仕事に影響出したくないので、連絡取ってませんからあのままです…」
「だろうな…どうだ?プレオープン前に、一度本社に戻って来い…その後2日休みをやる、メニューの件も決まったんだろ?ここは、キミの弟子に任せろ」
「お気遣いありがとうございます…ですが、こうしてバタバタ仕事に追われている方が気が休まります」
「では部長命令だ!これから私に付いて本社に戻れ!言っておくが、オマエが帰るの嫌がったら『専務命令だと言え』とまで言われている…仕事しか出来ない奴に居てもらっても悪影響しか出ないとの仰せだ…帰って少しは自分の先の事を考えろ…荷物は置いたままで良い…このまま本社に戻るぞ…」
「はい…」
開発課と弟子に「一度戻れと言う話だ…後を頼む…」とだけ言い、部長と本社へ戻った
本社に戻ってもする事の無い俺は、さして急ぐ事のない、今迄の経理報告を作成した
そこへ『キャリアさん』が訪れて来た
「あの…あのですね…」
「あ!これは営業課長補佐さん!お疲れ様です!すいません…今時間が無いもんで、失礼しますね?」
パソコンをたたみ、鞄に入れて立ち去ろうとすると
「待って下さいっ!…お願いします…」
目に涙を溜めた『キャリアさん』が叫んだ
一斉に周りの視線が集中する
「あはは…ここは余所の課ですよ?営業部でもない…仕事場を勘違い為さらないで下さい!失礼っ!」
『家に戻るとケイコがどうせ居るんだろう…車だけ取ってどっか余所にでも行くか…』
家に帰ると玄関に貼紙がしてあった
“ゴメンなさい いままでありがとう”
『ふん…諦めたか…まぁつまらない言い訳聞かなくて済んで良かったか…』
手を震わしながら貼紙を丸めポケットに突っ込んだ
鍵を開け中に入り、全ての窓を開ける
新聞と手紙を片付けていると、白い封筒があった
中には長いリボンの付いた家の鍵と短い手紙が入っていた
“今、何を言っても言い訳としか聞いてもらえないですよね?…けれど、本当にアナタと一緒にいた時間は幸せでした…もしも、会ってくださるなら連絡ください…時間がどれだけ経っても構いません…ずっとずっと待っています ケイコ”
『礼の尽くし方も知らない奴とは付合いたくないからな…それに、こんな手紙1通で、俺がどうにかなると思ってんのかね?』
居間に行き覗いて見る
荷物は片付いていた
コーヒーを作り、ベッドに座る
思い立ってデスクトップを立ち上げた
壁紙の『オタク女』は消えて、ノーマルスクリーンになっていた
パソコンを消し、ジャ○コに買い物に出かけた
新しいワイシャツを買い、プラモ雑誌を眺め、食料品を数点買い求めた
帰ろうとすると『オタク女』に似た感じのコが居て振り向いてしまった
『どこにでもいるよ…あんなのは…アイツでなきゃあ駄目って事は無いんだ…幾らでもいるさ…』
無気力に車に乗り家へと帰った
家に帰ると玄関に『キャリアさん』居た
「おいおい…不法侵入で警察呼ぶよ?素直に帰ってくんないかな?そこに居られると邪魔なんだけど…退いてもらえるかな?」
激昂する訳でもない俺を見て
「これで良いんですか?このまま終わらせて良いんですか?なんで、ケイコさんの話を聞いてあげないんですか?」
「会社の費用で借りているホテルの部屋でシャンパンぶちまけて乱交したキミに言われる筋合いは無い!と思うんだけどね?違うかな?なんならこれからウチの部長とキミの部長と社長に電話で聞いてみるけど?」
「あれは…あれは誤解ですっ!あれはお風呂で寝て居た彼をベッドに運んで、酔っぱらった私がシャンパンを開けたらこぼれちゃって…で、勿体無いからってシャンパンとワインを2人で飲んで…2人でお風呂に入って…そのまま寝てしまったんです…本当ですっ!」
「プライベートならそれも良いかも知れないね?でも次の日キミは仕事だ…あの状態では、どんな言い訳も聞けないね…わかった?わかったら帰って反省文でも書いてな…じゃあね課長補佐様」
「いえっ!帰りません!ケイコさんに会ってもらえる迄帰りません!」
「あっそう…俺は明日も明後日も休みなんだけどね?(笑)」
俺は家に入ろうとせず車に乗りエンジンを掛けた
助手席に『キャリアさん』が飛び乗って来る
呆れながら『キャリアさん』を横目に見て
「ベルトしてね…」
と言い急発進した
タイヤを鳴らしながら『キャリアさん』のマンションの前まで行き
嫌がる『キャリアさん』を引きずり降ろし、家へと帰った
『キャリアさん』から電話なりで連絡されている筈だが『オタク女』は来ていなかった
「ふん…三顧之礼もあったもんじゃないな…ガンプラでも作るか…」
冷凍食品に一手間掛け晩飯を作る
『親爺達も知ってんだろーなー…追い詰めると終わりと思って何も言って来ないな…』
ポケットから丸めた貼紙と指輪を出した
「年甲斐も無く盛上がってた自分が恥ずかしいね…」
ボソッと呟くと、貼紙に指輪を包んでゴミ箱に放り込んだ
「ガンプラ…ガンプラ…俺にはそっちの方が似合ってるよ…ホントにな…」
のろのろと机に行きMGを作り始めた
雑誌の加工例をを参照しながら、後挿し加工をして行く
ノって来た頃にチャイムが鳴った
一応覗いて見ると『キャリアさん』が戻って来ていた
チェーンを掛けたままドアを開け
「キミと何も話するコト無いから帰ってねー」
『キャリアさん』が顔を真っ赤にして叫ぶ
「ワタシが話あるんじゃありませんっ!ケイコさんが話があるんですっ!」
『キャリアさん』はドアをガタガタ引っ張る
その態度にキレた俺は、チェーンを外し外に出て『キャリアさん』の頬を張った
「ふざけるなっ!誰の性でこんな事態になったと思っているっ!それを…ドアをガタガタガタガタ…マジで警察に通報するぞ!それとも貴様の写真を会社にバラ撒いてやろうかっ!貴様が偉そうにできる事かっ!いい加減にしろっ!」
「…わかっています…誰が悪いかなんて…だから…無理矢理でもケイコさんを連れて来ました…ワタシは別にどうなっても構いません…会社に居られなくなっても…全然…だからお願いですっ!…ケイコさんと話をしてくださいっ!」
「まぁオマエは次に行くトコロあるもんな(笑)お気軽なこった…自分のしたい様にしてんのは誰かっ!自分で今迄のコト考えてみろやっ!」
「彼とはアナタ達が元に戻る迄会わないと決めました…元に戻らないなら、2度と会いません」
「それみろ!全部自己中自己満足じゃないかっ!良く考えろよ?オマエ…俺に一度でも謝ったか?俺に「聞いてくれ」と「会え会え」しかないだろがっ!何だ偉そうに…俺はテメェの部下でも何でもないわっ!さっさと消えろ!目の前から消えてくれっ!もう俺の人生の邪魔をしないでくれっ!」
泣いている2人を残し、ドアを締め鍵を掛けた
ドアを叩く音が聞こえる
ベッドに戻り俯せに倒れ込み、枕を載せ耳を塞いだ
諦めたのか出直して来る為か、ドアを叩く音が消えた
やがて車のエンジン音が聞こえ、小さくなって消えた
ほっとしたのもあるが、何も話が出来なかった泣いて蹲っていた『オタク女』姿を思い出し、表に出て車が走り去った方を眺めた
道路には人っこ1人居なかった
『ふぅ……』
家の中に戻ろうと振り向くと、懐かしい白いズボンを履いて、しゃがみ込んだままの『オタク女』が居た
「よぉ…久しぶり…何か用か?」
「えっとね…えとね…本当の事を話したいの…」
「ふーん…どんな話だ?」
「あの日の夜の事…」
「聞きたくないな…じゃあ風邪引くからさっさと帰れよ…じゃぁな…」
「聞きたく無いの判ってる…けど…隠し事したくないの…」
「もう良いから帰ってくれないかな?聞きたい気分じゃないんだよ」
「じゃあ…ここで待ってる…聞きたくなる迄、待ってる…」
「あのな…田仲に引こ摺られて来たクセに何言ってんの?良いから帰れよ…じゃあな…」
静かにドアを締め鍵を掛けた
1時間程経って、タバコを買いに外に出ると、まだ『オタク女』は座って待っていた
コンビニで、おでんとタバコを買い戻って来ても、玄関にしゃがんだままだった
「おい…」
「はぃ…」
「立てよ…」
ドアを開け中に入れ、おでんを渡す
「喰えよ…少しは温まるだろ?」
暖かいミルクティを作りテーブルに置いてやる
俺はコーヒーを作りながら
「で?本当の話ってのは何だ?」
と聞いた
「うん…あのね…あの後2人でワイン飲んで済んでシャンパンをメグさんが開けて…こぼして…それで、タオル濡らしにお風呂場にメグさんが入ったら、メグさんの彼が、お風呂場で寝てるのが判って…で、助けてもらおうと思って呼びに行ったの…でも、鍵が掛かってて…そう言えば眠そうにしてたなーって思って…で、なんとか2人でベッドに戻して…疲れて…汗とシャンパン流そうって2人でお風呂入って…で、はしゃいでたらメグさんがキスしてきて…外に出てシャンパン飲みながらキスして…そしたら…メグさんが…彼のを舐め始めて…メグさんが一緒に舐めようって…で、舐めてたら…そしたら起きて来て…そのまま…」
「シタ訳だ…な……………んー…わかった…ありがとう…じゃあ食べて飲んだら帰ってね…」
『オタク女』の目の前で『キャリアさん』スグに電話する
「よぉ!さっきはよくも嘘ついてくれたよな?別にどうなっても構いませんだと?必ずオマエを社会的に抹殺してやるからな!彼は関係ない!オマエだけをっ…俺の一番楽しい方法でなっ!じゃあ愉しみにしておけよ!」
『オタク女』は俺の声のデカさに怖がってしゃがみ込んだ
「なぁ…このまま怒鳴り込んで行こうか、それとも怒鳴り込んで来るのを待とうか考えてるんだ…どっちが良いと思うよ?」
「やめてっ!もうやめて下さいっ!ワタシがっ!ワタシが悪かったんですっ!いつでも止めれたのに止めなかったワタシが悪いんですっ!メグさんはワタシを庇って言わなかったんですっ!」
「ふーん…そんなに田仲が大事か?わかった…ここで待ってろ!あの女の正体見せてやるよ」
「ダメっ!行かないでっ!メグさんに酷い事しないでっ!」
「五月蝿いなー…嫌なら帰れよ…俺とアイツのどっちを取るつもりだよ?アイツなんだろうな…(笑)もう…どうでも良いか…家に帰れ…さっさと帰ってくれ!オマエも自分の言いたい事を言えたから満足だろうよっ!…ほらっ!立って…帰れよっ!」
『オタク女』ゆっくりと立って玄関までヨロヨロ歩き、ドアを開け「さよなら」と言って出て行った
「サヨナラ…」とドアが閉まった後、自分に向けて呟く様に言った
その夜は、日頃酒を飲まない俺が、棚に置いて居たボトルを出し、生のままで、咽せたり、胸を焼きながら呑んだ
そしてテーブルで酔いつぶれて寝てしまった
朝方目が覚め、コンビニに行き、ポカリとグレープフルーツジュースを買い、それぞれを飲み干しベッドで寝た
昼頃に目を覚まし、お茶をがぶ飲みしボーッとテーブルに意気消沈して座っていた
メールチェックをすると、部長からメールが来ていた
概ねの内容は“仲直りして来い”だった
『いや…女に寝取られたなんて言えねーっすけど…もう時既に遅し…ですよ…』
返事も出せず、ノロノロと歩いて外に出かけた
なんだか仕事もどーでも良い気分になっていた俺はトボトボと散歩した
最後には、例の公園でぼーっとベンチに寝そべり空を眺めていた
子供達のはしゃぐ声も消え、日も暮れて来た
古本屋に行き、5巻完結のマンガを読み終えて家に帰った
家に帰り、食事を適当に済ませ、またガンプラを作っていた
ドアのチャイムがなり、覗いて見るとまた『キャリアさん』だった
「言い訳なら間に合ってます…じゃあね」
とドアを閉めようとすると、足を挟んで閉まらない様にした
「押し売りなら警察呼びますよ?ってか…キミの事…別に何もするつもりも涌かねーから安心して帰って良いよ…じゃあね」
『キャリアさん』は無言のまま足をコジ入れようともがいている
『1回開いて思いっきり閉めてやろっか?』
とも思ったが、それさえも面倒で、代わりにパッと手を放してみた
大きく身体を回しスッ転ぶ『キャリアさん』を見て大笑いした
「はいはい…気が晴れたから帰ってください…もうイライラしたく無いんだ…」
すると『キャリアさん』は無言のまま土下座した
「何がしたいのか不明ですね?足が痛いでしょう?ご苦労様です…帰って良いよ…じゃあね…」
やっとドアを閉め、部屋に戻ろうとすると、『キャリアさん』が中に入って来る
「あのねぇ…お互い大人なんだから話があるならちゃんと喋りましょうよ?」
無言…
「無言で居座られてもねー…気持ち悪いだけだし…話す事が無いなら帰って下さいな…」
「なんで、怒鳴らないんです?」
「あぁ…やっと口利きましたか…んー…何で怒鳴らないのかってゆーのは、キミに興味も無いし、どーでも良いからでしょうね?…きっと…怒る価値も見出だせない……あー…そう言えば……昨日はケイコも怒らなかったなー…(笑)…彼女を怒鳴らなかったのは、多分…あの時点でも嫌われたく無かった…別れるのは嫌だったんだろうけど……もう、どうでも良いですよ?彼女は貴女との友情の方を選んだみたいですから……ん?愛情かも知れませんね?(笑)…取り敢えずまぁ昨日会いましたんで、彼と再会なさってください……そーゆーコトです…」
「ワタシじゃあダメですか?」
「ははっ!前にも言ったじゃないですか?私達は無理です」
「何で無理なんて言うんですか?」
「セックス一つでもそうだったでしょ?…ケイコとは間違い無く合うけど、貴女とは合いません…例え100人の中で99人が貴女を可愛い…良いと言っても私は間違い無くケイコを選びます……今でもね……それだけは揺るぎません……彼女は私の人生の中で一番大切な女でした…多分これからも、彼女以上の存在は現れないでしょう……ケイコは自分が被れば全て上手く行くと思って身を引いたのかな?……でもね…彼女は俺の気持ちを完全に理解はして無かったと思いますよ?…諦め癖を少しはマシにしてやったつもりなんですけどね…アイツの笑ってる顔が見たかったからね……まぁ…貴女に言っても仕方無い話です……でも貴女のお陰で、たった今、大事な用事を思い出したんで、帰って頂けませんかね?急ぎますんで…」
表情を変えないまま、それでも力づく腕を掴み外に出て頂いた
ゴミ箱から貼紙と指輪を拾い出し、ポケットに突っ込み家を出た
『キャリアさん』は、まだ何か言いたそうだったが口を人差し指で押さえ
「感謝します」
と言い、車で『オタク女』の家に行った
挨拶をすると、心配そうな顔の親御さん達に出迎えられ、弟君も今回はコッソリ覗き見しているだけだった
俺はニコニコして「心配しないでください」と笑い、『オタク女』の部屋に上がって行った
「おーい!俺の家に帰るぞ!」
「え?」
『オタク女』は、ずっと泣いていた様だった
瞼は腫れ、鼻の周りは真っ赤になっていた
「良いから!ほらっ!行くぞ!」
手を差し出し『オタク女』を立ち上がらせた
「おっと…忘れもんだ…」
指輪を元通りに入れてやり笑ってやった
指輪を暫く見つめ、それから俺を見つめ
『オタク女』涙をボタボタ落しながら泣き崩れた
「ごめん…なさぁいっ…もぉ…もぉっ…しません…」
「良いよ…もう…でも、次は無いよ?忘れるな?ほれっ!これをいつも持っとけ!」
シワくちゃの貼紙を伸ばして手渡した
「うんっ…うんっ…うんっ…」
「そろそろ笑えよ!下に降りなきゃ帰れないだろ?(笑)」
「うん…そっ…だね…えへへ…」
『オタク女』を大きく深呼吸させ、2人で下に降りた
泣きながらも笑っている『オタク女』を見て親御さん達も安心したのか貰い泣きした
コーヒーをオヨバレし親父さんの夫婦ケンカ話を聞かされている間に、お袋さんが『オタク女』の荷物を用意し持ってきた
「本当にもうヒヤヒヤさせてくれるなよ?」
と親父さんに念押しされて、ニコニコ顔の3人に見送られた
家に帰ると『キャリアさん』がまだ玄関に居て、俺達を見て『信じられない』といった顔をし、しゃがみ込んだ
「まぁ…君の目論みは外れた訳だ…素直に彼氏の許に帰りなさい」
ウインクをしてドアを閉め、俺は久々の我が家へ帰って来た
「さぁっ!2週間振りだっ!寝れると思うなよっ!」
「はいっ!御主人さまっ!ワタシも欲求不満がドンっ!と涌いてきましたっ!負けませんっですっ♪」
バカップルの夜は日が登っても続いた
寝落ちしたのが、何時だったか覚えていなかったが、昼前に不意に目が覚めた
慌てて隣を振り向くと、『オタク女』の寝顔がソコにあった
安堵した俺はゆっくりと起き上がり、コーヒーを作り、デスクトップの電源を入れた
何はともあれ『オタク女』と復縁した事を、部長に報告しなくては…と思っていたのかも知れない
“御心配掛けましたが、万事上手く行きました ありがとうございました”
すると、メールして5分も経たない内に部長から電話が掛かってきた
「どうも御心配掛けました…このお礼はいつかきっと…え?…はぁ…はぁ…えっ?…と、言われましても…いや…そんな訳では無いんですが…はぁ…あたってみます…え?そうなんですか?…いや…そんな…うれしそうとか…ははは…あーーー…でも…そーですかぁ~…え?俺との事務所での話の件を?誰が?…えーーー?そうなんですか?…いやー全く疎いんで…興味有りませんし…はぁ…はぁ…助かります!…あっ!そーだ!彼女のネタなら社長と…ってのも有りますよ?(笑)いえいえ!本当です…彼女のパソコンの中に画像が入っている筈です…ジョーカーは捨てて無いはずですから…ええ…いえ!彼とはシコリを残したく無いので…ええ…直に合って頼んでみます…ええ!元々のチームで!…いや…もう勝手にクビにしたりしませんよ(笑)…わかりましたっ!明日より、ケイコと2人で…いや、ケイコくんと東京支社の方へ行きますっ!では!お疲れ様ですっ!」
はしゃいでる声で『オタク女』が目を覚ました様だ
「あうぅぅ…眩しいですぅ…目が…目が…開かない…目が…閉じ…ちゃう…グゥーーー」
「オマエの寝息はそんなもんじゃないぞ?グーグーガーガー言ってるぞ?」
「グーグー…ガーガー…」
「起きてるね…かなりハッキリと……あのな…部長から電話でな、明日っからオマエと2人で東京支社に行けとの事だ…勝手にクビにするな…とさ…もちろん彼もな(笑)」
「はっ!マジっすかっ!ヤタっ♪また一緒だぁ~♪」
「でだ…田仲は行かない…いや…営業部が外した…オマエは信じないだろうが…良く無い噂も結構有るそうだ…まぁ…彼には悪いが…乗り越えてもらおう…問題は俺をまだ信じてくれるかどうか?だな…」
「大丈夫だよ…ずっと説明するって言ってたんだけど、ワタシと御主人さまの問題だからってっ断ってたのよ…本当はね…ワタシは田仲さんがシテルの見せられてただけ…見たくなかったけど…で、寝てたらワタシをタカさんとサセようとして…そしたらタカさんが怒って…タカさんが1人で寝て…で、ヤケになった田仲さんがシャンパン振り回しちゃったのが…本当…です…」
「やっぱり庇ってたワケか?」
「だって…お酒呑んだ時だけあーなっちゃうから…覚えて無いだろうし…大事なお友達って思ってたから…」
「んと…オマエの事を信用して無いわけぢゃないけど…彼とこれから電話するよ?良いか?」
「うん…」
『勇者』に久々に電話を掛けた
「もしもし…×××です…どうも…いやっ!もう気にしないで下さい!事情は聞きました…えぇ…えぇ…アナタを信用しています…あなたはそんな人じゃ無い…田仲はそれが判って居なかったのでしょう…あぁ…そーなんですかっ?…僕には自分から会わないと言ったと…えっ?マジですかっ?…そりゃあ酷い…その事は彼女には?…言って無いんですか?…判りました…実は本社でも問題になっているようで…えぇ…まぁ…コチラにちょっかいが出せれない様にしておきます(笑)…お父様とお母様が?…わかりました…僕にメールして下さい…いや、なに…それを田仲にプレゼンとするだけですよ(笑)後は彼女がどーにでもするでしょう?(笑)…そりゃそーと…リーダーとバイトの娘達が決まりましたんで撮影お願いしますよ?…萌えモード全開でっ!(笑)後、メニューとHPの更新も頼みますんで!ええっ!元の3人のチームでやりますよっ!頑張りましょう!明日、いつもの場所、いつもの時間でお願いします!じゃあっまたっ!…はい!お疲れさまです♪」
話を聞いていた『オタク女』がニコニコしていた
「見たか?ガツーンと言ってやったぞっ!俺の女の前で粗チンを見せるな!ってな!」
「全然チナウ…ソチンってな~に?」
「お粗末なチ○ポの事」
「御主人さまのよりも、おっきいかったよ?チラ見だけど…」
「………大切なのはデカさじゃない!愛だぁぁぁ~!」
「おーーーーーっ!」
「で、ドン位だったの…」
下ネタに盛り上がりながら再び準備をした
と、言っても『オタク女』は昨日持って来たバッグをそのまま、俺はパソコンを携帯しスーツに着替えただけだったが…
「寝不足で体がおも~~~い…」
と言う声を無視しつつ本社に向かった
丁度、昼休みも終わった時間だったので、同じ課の連中は勢揃いしていた
「×××さん聞きましたよ~結婚するんでしょ?」
「いつ?いつなんすか?式は?」
「×××さんってホモの噂もあったのに…残念です…」
「で、彼女ですかっ?犯罪じゃないっすかっ!幾つ離れているんです?」
・
・
・
「喧しいっ!とっとと仕事しろっ!」
「家庭持ったら、小舅癖を無くして少しは丸くなれよ?」
と課長がボソっと言って席に戻った
歯を見せて笑っている会計課のコの所にツカツカと行き
「出張費出せっ!」
と怒鳴った
笑いながら封筒を手渡してきた
「それとな…昨日の件だけど…営業部キャリア様の、他の良い情報聞きたく無いか?」
事実関係は言わず適当な噂を、聞かせてやった
『唯の根も葉もない噂』だが、面白く思って居ない連中もいる筈だ
1週間後には本社中に流れているだろう
「あくまで、『噂』だからな!」
と念押しし、部長を探した
「…で、これが報告書です…」
『勇者』から送られて来たファイルを見せるかどうか迷ったが、結局見せる事無く報告を済ませた
「ん…良い顔に戻ってるな…じゃあ…明日からまた頼むぞ?ケイコくんもな!…事前に言っておくが、その内専務と視察に行くからな!ヘマするなよ?(笑)」
「はいっ!」
「はぁーぃ♪」
ロビーに降りようとエレベーターを待つ
すると、我等が部長に呼ばれたのか『キャリアさん』が降りて来た
俺達を一瞥し「ふんっ!」と聞こえる様に言いながらそっぽを向き歩いて行こうとした
「あれれ?その様子じゃまだ俺からのプレゼント見てないのかぁ?見てたらそんな態度とれないもんなー(笑)まー玉の輿頑張れよ~♪社長や営業部長と彼とはもう2度と無理だけどね(笑)じゃぁな♪」
『キャリアさん』が青ざめて振り向いた
「一つ教えておいてやるな…プレゼントされる指輪は同じ指輪にしておいて、一つだけ持ってた方が良いぞ?後、携帯とメールも違うアドレスでなっ!バイバイ♪」
会社を後にすると『オタク女』が聞いてきた
「さっきのはどーゆーこと?」
「ん?オマエは生涯知らなくて良い事♪」
「え~~~~~っ!ケチ~~~~っ!御主人さまのケチケチケチケチケチィ~~~~っ!」
「ケチって何回言った?」
「え?ん、んとーーーーー…5回?4回かな?あれっ?…」
毎度の事、列車では爆睡をし、キープしておいてもらってたホテルから荷物を出し、元のホテルに戻った
当然、アノ部屋から別の部屋に変更してもらった
「でも間取り同じなんだよね…そんでもってスル事も♪」
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